活動主体: うらわ自然観察会と秋ヶ瀬公園管理事務所による共同プロジェクト
設立: 2024年4月
目的: 20世紀半ばくらいまでは、荒川流域でより身近に生育していた植物種を秋ヶ瀬公園のピクニックの森に隣接する多様性保全エリアに、周辺地域及び荒川上流域から導入し、秋ヶ瀬公園内に現存するレッドリスト掲載種と共に保全し、生物多様性が高いエリアを創出します。また、このエリアを公園利用者にも公開することにより、市民の生物多様性に対する関心を高めることを目指します。
1950年代以降秋ヶ瀬周辺に生育記録がある種を対象とし、以下の観点から選定します。
・荒川の後背湿地に生育しうる代表的な種
・さいたま市内では絶滅リスクが高い種
・公園利用者へアピールできる種
年1-2回の刈取り及び外来種の抜き取りを
主な管理方法とし、この方法で存続できるものを継続して保全する予定です。
・ノウルシ
・チョウジソウ
・タコノアシ
・ウマスゲ
・シロバナサクラタデ
・ミゾコウジュ
・キツネノカミソリ
・導入する植物種にとって秋ヶ瀬公園内の生物多様性エリアは、”島的”な状態であり、同種の他の個体群とは交配できる状態ではないこと
・導入する植物種の多くはレッドリスト掲載種で、保全管理しない状況では、秋ヶ瀬公園内で個体群の存続が難しいと考えられること
・近隣のサクラソウ補完地において、過去20年間で、移植したサクラソウが繁殖し周囲の生態系に大きな影響を及ぼした事例がないこと
(境界外側で刈払いを実施している箇所ではサクラソウの越境は認められますが、あくまでも刈払い管理下のみの事例です)
以上の理由から、今回導入を予定する種が、周りの生態系に大きな影響を与える可能性は極めて低いと考えています。しかしながら、自然界において、想定外の事象が100%発生しないと主張することは困難です。そのため、何らかの問題が生じた場合は、順応的に責任を持って抜き取り等の措置を実施し、問題の解決を図ります。
何らかのリスクが残るのであれば、導入は見送るべきという考えも当然ありますが、さいたま市の荒川流域に生育している希少植物の個体群は、人為的攪乱、外来種の侵入、乾燥化等の影響下のもと、かろうじで残存している状況です。また、治水事業の進展により、個体群の拡大を河川の氾濫に依存しきた種にとっては、新たな生育地への再進出の可能性は非常に低くなっていると考察できます。そのため、秋ヶ瀬公園内のピクニックの森に隣接する一部区域を多様性保全エリアと位置づけ、周辺地域及び荒川上流域からの導入も含めて、植物種の多様性を高める活動を推進することにしました。
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